ゆうの足あと

わたくし、オーナー"ゆう"の生活の中心である「研究」「音楽」「妻との生活」がトピックです。

読本覚え書き ~犬の科学~ Stephen Budiansky 著、渡植貞一郎 訳 その(1)

2020年の10月ごろから、犬を飼い始めた。

今までほとんど触れ合わない人生を送ってきたので、正直なところ犬については全くといって良いほど無知。

 

最低限の知識を得ようと、初心者向けの犬の本を読んで実践してみてはいる。

しかし、そもそも犬がどのような生物なのか分かっていないので、何かちぐはぐというか、犬とうまくコミュニケーションをとれていない感じが何とも嫌な感じがする。

 

ということで、「犬がどのような動物かを知ろう」と思い本を探していると、妻が面白そうな本を探してきてくれた。

 

 それがこの本。

 

科学的な側面から、犬の"ほんとうの性格・行動・歴史"を知ろうということらしい。

私も研究者の端くれなので、馴染みのある視点から犬というものを少しでも理解できたらと思う。

 

ここからは、本書の中で私が特に気に入った箇所を自分用に覚え書きしておく。

 

最後に(全ての愛犬家へ)

いきなりあとがきから始まってしまうが、わずか4ページのあとがきを読むだけでもこの本を買った意味があると思ったので、ここで気に入った部分を最初に書き留めておく。

 

最後に

犬を

犬の欠点を

犬の遺伝子を

犬にたかるノミまでも

犬の何もかもを愛してやまない人々へ

...(中略)

必要なことは、あるがままの本当の犬を、偏見なく認めることである。

...

彼らは、犬でありたいのだ。

...

進化は、共通の運命も、互いの相違点も用意してくれた。そして面白いことに、この相違点こそが、結局、人間と犬のきずな、を結ばせたのである。

 

犬が人間なら、ただの間抜けだ。

犬は、犬だから、すばらしい。そのことを直視しよう。

 

犬を(人間でなく)犬として尊重しよう、それだけ忘れなければ、犬との生活はきっと良いものになるのではないか、と思った。

 

たしかに、犬を飼う人の大半は、「犬が好きだから」犬を飼うのだと思う。

その割に、私も御多分に洩れず、犬に人間社会の常識へ適応することを過剰に強いている気がする。

(これは、本文中にある通り、人間の類い稀なる擬人化能力によるところが大きいらしい)

 

私も、犬ができる限り犬らしく生きていけるようにしたいと思った。

さて、では犬らしいとはどういった状態か?というのは、まさに本書のほとんどを占める内容なわけだ。

 

1章 人は、なぜ犬をかわいがるのか?

犬は悪だくみをする寄生者である。しかし彼らは同時に、美しく魅力的である。

...

犬を人間と思い込んでいる飼い主のせいで、被害妄想に陥っている犬は多い。

...

犬の理解力、犬の動機、犬の知覚、犬の反応によって、あるがままに犬を眺めることは、彼らの真の性質、能力を認めることである。

逆に、われわれの自己中心的で貧しい想像力によって、われわれと同じ存在と見なすのは、そうであって欲しいものの幻影を求めているということだ。

...

 

われわれ人間は、大きな目をした、丸い顔の、小さななよりなげなものを見せられると、それを傷つけることに対して、生得的な(生まれつきの)抑制が働く。

...

犬は、このことを際限なく利用する。こうして、彼らは、我々人間を手玉にとる。

...

われわれ人間が犬を選んだのではない。彼らがわれわれを選び、われわれは彼らに捉えられたのだ。

...

 

何十億頭もの飼い馴らされた動物が存在し、同じ動物種なのに形態が極めて多様で、行動が全く斬新で、人間生活がつくった環境条件に抜け目なく適応しているという事実には、驚嘆するほかないのではないか。

...

遺伝学、古生物学、生物工学、認知科学、神経解剖学などのすべてが、犬にまつわるこれまでのストーリーを作り替えようとしている。

...

科学が踏み込めないたくさんの事柄がある。しかし同時に、我々の経験だけでは到達できない場所、自己の感覚にとどまっている限り想像できないもの、個人経験から離れて初めて知りうる自然世界の時間などに、科学はわれわれを導いてくれる。

 

この序章では、本当に、私たちが普段思っているように犬を飼い慣らしているのか?について疑問を投げかけている。

 

犬が怖がっている(だろう)、粗相をしたので犬が反省している(だろう)というのは、人間の勝手な想像の可能性が高いことがここに書いてあるし、この後も繰り返して述べられていく。

 

それと、もう一つ大事なのが、本書は"科学的な側面に焦点を絞って"犬の性質を述べている点だ。

著者は決して、犬に対する愛情や犬がもつ心をむりやり科学的に理解しようとしたりしていない。

ただ、これまであまり注目されてこなかった犬の科学的側面を眺めれば、大好きな犬をもっとあるがまま理解できるのではないか、と述べているに過ぎない。

 

私はこの考えを、科学を生業とする者として非常に良い考え方だと思う。

科学(特に実験)は、ある条件のもとではそれが最も確からしい、という結果を与える。

やはり科学に絶対は無いし、むしろ科学者は定説を覆すことを心待ちにしている節がある。

 

上の考え方を忘れなければ、2章以降で述べられている事がらが、"唯一の解"ではなく、"論理的に考えれば最も矛盾ない解"であることが分かるだろうし、この本に書いてあることの深い理解にも繋がる気がする。

 

<(2)に続く>

Jazz Standard Bible(黒本)のキー別曲一覧

現在Jazzをやっている人なら、一度は聞いたことがあるだろう、Jazz Standard Bible、通称「黒本」。

 

https://www.amazon.co.jp/ジャズ・スタンダード・バイブル-セッションに役立つ不朽の227曲-CD付き-納-浩一/dp/4845618710


 

セッションでよく演奏される曲が網羅されているため、発売以降、アマチュアにとって必需品となっている。

 

さて、曲を覚えるうえで、キーごとに練習するのが非常に有効だと思う。

特に初心者にとっては、各キーのコード進行を繰り返し練習できるため、キーそのものになれることができる。

 

そこで、黒本1に載っている曲を、キー別にまとめてみた。

ここで、平行調(CメジャーとAマイナー)は区別している。

これから曲をがっつり覚えて、セッションでバリバリ演奏するぜ!とやる気たっぷりの人から、もう一度スタンダードを確認したいという方にも、下の一覧が役に立てば幸いだ。

 

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博士課程後期に在学する利点と欠点(随時更新)

私は現在、理学系大学院の博士課程後期に在学している。

なぜ進学したのか?という話題は別に書くとして、ここでは在学時に感じた良いところと悪いところ(改善すべきところ)を、感じた時に更新していこうと思う。

 

なお、今のところメリット、デメリットの大きい順に並べる予定だ。

 

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Jazzギターの音作り考察

Jazzのギターといえば、高音域が抑えられた、メロウで甘い、どちらかといえばしっとりとした音を思い浮かべる人が多いだろう。

 

実際、有名なJazzギタリストは、どちらかというと小さな編成で演奏していることが多い。具体的には、ギターのデュオや、ギター、ベース、ドラムのトリオといった具合だ。

 

逆に、トランペットやサックスなどのフロントのバックとして演奏したり、ピアノとカルテットを組んだりすることは少ない印象である。

 

これはなぜか? というと、私は、Jazzにおけるギターの音作りに問題があると考えている。

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2018年のまとめ

 この記事を書いている今は12/31 21:02。テレビでは今年見事な復活を果たしたDA PUMPが"USA"を歌っている。後ろでは紅白関係なく100人近い出演者が踊っている。いい光景だな。

 2018年はどんな年だったろうか。研究面では、博士課程後期2年として、論文執筆と実験に励めた(はず。生活面では、妻と住み始めて2年目だった。ここでは、年始に設定した目標について、簡単に振り返っていきたいと思う。

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ワイヤレスマウスの分解とお掃除

最近、ワイヤレスマウスの調子が悪い。

 

電源を入れて数分すると、勝手にスクロールしたり、クリックされ永遠に新しいタブが発生したりする。

どうやら、ホイール周りがおかしいらしい。ということで

こういう時には、とりあえず掃除だ!、ということで、分解してみた。

 

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藍坊主がNewミニアルバム"木造の瞬間"を出した

 2018年1月24日、藍坊主が3rdミニアルバム"木造の瞬間"(読み: きづくりのしゅんかん)をリリースした。前フルアルバム「Luno」から数えると約1年4か月ぶりのアルバムとなる。リリースの間隔は決して長くはないが、藍坊主というバンドがその期間に乗り越えたものの大きさをうかがわせる、それほど素晴らしい作品にだと感じた。本記事では、木造の瞬間のレビューと、アルバムから私が考えたことを書きたい。

 

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